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座談会

インフラ老朽化の危機──2

管理者や市民は今こそ覚醒を

管理者や市民は今こそ覚醒を

2025年1月28日、埼玉県八潮市で、中川流域下水道の下水道管の破損に起因すると思われる道路陥没が発生しました。この事故を受けて、国土交通省では「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」(委員長:家田仁教授)を発足し、3月17日に第一次提言が発表されました。ここではインフラ維持管理についてどうとらえるべきかをテーマに行った座談会の内容をお伝えします。(3月27日実施)

受益者・負担者・オーナー3つの面を持つ市民

家田 この道路陥没事故は大変痛ましいショッキングな事故で、先日ようやく巻き込まれた人のご遺体が発見されました。流域下水道で下水を集めてきた直径4.75mの非常に大きな管路が砂あるいはシルト層の地盤の場所につくられ、しかも急カーブで立坑に接続し、地盤的にも構造的にも非常に難所で起きています。詳細な原因は解明していませんが、硫化水素の影響でトンネル内壁が浸食されて薄くなっていたという実態があり、周りの地盤の状況によって空洞が先にできたのではないかともみられています。
 陥没事故の後、国土交通省に対策委員会ができて、第一次提言は事故現場の類似箇所を最優先しながら、徹底的に全国の下水道を調査するという趣旨で発表しました。次は5月に第二次提言として、下水道を中心とする地下管路のマネジメントをどのように変えていくかを訴えていきます。夏頃に予定している第三次提言は幅広いインフラのマネジメントについてのあるべき姿を提起していきます。また事故後、埼玉県には「復旧工法検討委員会」と「原因究明委員会」とがつくられ、桑野先生は3つの委員会のいずれにも参加されています。
桑野 道路はあちらこちらで老朽化した下水管による小さい規模の陥没が起きていますが、ここまで大きな規模のものは私も聞いたことがないですね。
家田 早速論点に入りますが、まずは今回のような事態が、市民社会あるいは市民にどんなインパクトを与えたのかということです。
茶木 私は人の営為や感情などが織り込まれる文化とインフラについて執筆活動をしていますので、インフラを利用する市民という立場からお話をしますと、今回の道路陥没にはまさに足元を掬われた思い、インフラの老朽化において大きな危機が迫っていることを改めて感じました。
 それから以前、私も流域下水道の点検の現場を見せていただいて、道路の下には下水道の管路が通っていることに実感が湧きました。公共交通など自分が直接、運賃を負担して利用しているようなものについては認識していますが、今回のことで、日常生活の中で見えないインフラに関してはあまり意識してこなかったことを痛感した人も多いと思います。自分たちが利用するインフラの状態や点検を知ることの重要性、責任を持つ必要を感じました。
 3番目は、流域下水道ということで12市町村という広域の120万人の生活に影響があったということですね。

陥没範囲拡大防止のため、地盤改良、鋼矢板を打設(3月3日撮影)
陥没範囲拡大防止のため、地盤改良、鋼矢板を打設(3月3日撮影)

家田 今回も流域の人々が排水抑制に協力されましたが、第一次提言にはこれまでの行政の姿勢を変革するような文言を加えています。「調査が困難な場合には、深夜など流量の少ない時間帯に上流のポンプ場を停止し管内貯留をしつつ、住民にも深夜の下水道の使用自粛を要請するなど、最大限の水位低下を図り、調査を実施する」――つまり、調査や点検には流域の人々の協力が重要だという趣旨です。これまでインフラの世界は市民が強く意識することのない、縁の下の力持ちとして定着してきたことを考えると、この文言は大変な躍進です。インフラのサービスが成立し得るためには、市民は単にサービスを享受するだけではなく、インフラを自分のものとして、貢献もしなければならないというカルチャーを打ち出しているんです。
桑野 下水は地下で見えませんので、今回のことで、当たり前に使っていたインフラにトラブルが起きて、使えなくなって不便を強いられ、インフラはちゃんと維持管理しないとこういう逆襲をくらうことを皆さん認識されたのではないでしょうか。
家田 インフラは市民あってのもので、市民は3つの面を持っている。受益者と負担者という面は理解されやすいのですが、もう1つ、少なくとも公共インフラの場合はオーナーとしての面があります。税金をどこに使うかという議論は市民とはほとんど関係ないところでされているので、オーナー意識は持たれにくい。ある地域に老朽化した小さな橋があって、隣の地域にはまだ使える橋がある場合、合意形成のために地元の人たちに存廃を諮ると当然、残してほしいという答えになりますよね。でも、行政がもっと踏み込んで「架け替えにはあなたが払う税金の○%を使うことになる」と説明をしたら、もっと自分ごととして考えるようになります。つまり、行政の側も、市民が持つべき3つの面を考えてアピールする必要があると思いますね。
茶木 市民側にはインフラが自分たちのものだという意識は育ってきているとは思いますが、それでもまだインフラをつくる・管理する側と、使う側が分かれてしまっていますね。
家田 その分かれ方が公共インフラほど激しい。そういう意味では行政は市民への意識転換を図るべきだと思います。

家田 仁 政策研究大学院大学特別教授・東京大学名誉教授
家田 仁 政策研究大学院大学特別教授・東京大学名誉教授

多様性と不確実性に満ちたわからない世界に向き合う

家田 足元を掬われた思いは管理者たちも同様です。どんな分野も自分がディレクトリに管理しているものは気に掛ける。今回は硫化水素の発生によって内壁が減るとか途中で漏れているかとかね。ところが、自分の世界の外側にどのようなものがあって、どういう状態かという認識は比較的甘い。
 熊本地震で九州自動車道自体は大きな被害はなかったものの、 それとクロスしている熊本県や市町村が管理する跨道橋が落橋して運用を止めざるを得なかった。管轄するNEXCO西日本は周りからのリスクを考える必要があることを学び、その後は跨道橋の点検も厳しくやるようになったんです。今回はそれよりさらに難しい地下の問題です。というより、地下に関する我々の認識自体に問題があるのかもしれない。
桑野 道路の下には公共の埋設インフラが集中して非常に混雑していますが、地下の状態は上から見ただけではわからない。陥没の一番難しいところは直前になるまでほとんど兆候が現れないことで、特別な調査をしなくてはいけないんです。特別な調査は価格も高いし、技術的にも難しい。
 あと、土の構造物では、例えば盛土だと建設後、通常は時間が経つに従って安定すると考えます。内部侵食や陥没空洞問題に関しては時間が経つほど土が持っていかれるなどして構造的に劣化していく。土構造物が劣化していくコンセプト自体が元々はなかったし、あったはずの土がなくなるという想定は地盤工学の世界でもあまりなかったんです。
 地盤は不均質で、また同じ土でも条件によって強さも硬さも変わります。例えば、砂の地盤が地震で液状化するとか、安定していたはずのものが外部からの刺激によって様相が変化します。そういう意味ではまだ非常に難しい材料なんです。

桑野玲子 東京大学生産技術研究所 教授
桑野玲子 東京大学生産技術研究所 教授

家田 土は多様性と不確実な要素があって、地下ではそれを見ることすらできない。つまり「わからない」世界なんですよね。日本に限ったことではありませんが、人間はわからない時に神様に頼りがちです。山の神様とか水神様とか。もちろん努力はするけれど、未知の要素があるところには必ず神社などを置くんですよ。かつて、山の神は女性だからと言って、トンネル掘削工事には女性が入ることができなかったでしょう。自然を相手にする時には未知の要素があることを施工する側もマネジメントする側も強く意識していたし、神社に山や水の神が祭られていることで市民もその場所に未知の世界があることを知ってきたと思うんですよ。それが徐々に、技術の進化などによって自信を得て、未知のものに対する認識が施工者やマネジメントサイドに欠けている要素があるのではないかと思いますね。
茶木 人間は自然を崇め、畏怖しながら、一方でわかりたいという気持ちを強く持ってきたと思います。神話などにもあるように、自然や自然現象を神格化してきました。けれども様々な情報の影響や技術の進化からそれが少なくなってきたかもしれないし、知ることや理解するということに関しても、自分たちが理解できる、把握できる部分だけでわかろうという意識になってきたかもしれませんね。
家田 なるほど、わかる部分だけで理解しようとする。地下に対する本質的な未知性や本質的な多元性については何かご意見がありますか。
高山 例えば開削して埋め戻す場合は土自体の問題として理解できますが、今回のようなシールドだと、下水道管側の損傷からの吸出しなどが地盤の劣化に繋がるのでしょうか。

高山陶子 アジア航測株式会社執行役員 社会インフラマネジメント事業部 事業部長
高山陶子 アジア航測株式会社執行役員 社会インフラマネジメント事業部 事業部長

桑野 その場所に土があれば、埋設物を周りから拘束したり上を支える機能がありますが、土がなくなれば、そうした機能が失われます。地中に構造物を作る時にはそれをきちんと拘束して、なおかつその上の道路も支持する機能が付加されているはずですが、それが今回のようなことで失われてしまいます。
家田 今回のことは徐々に起こる「摩耗」ではなくて、ある時点で壊滅的にモードチェンジするような「相転移」に近いのでは? 急に何らかの現象が変わる不連続を感じました。少しずつ変わるものに対しては人間は対処できるし、現れた兆候に技術で対応しやすい。今回の陥没も兆候を見て対処することでは限界があって、予備的に手を打つことが重要かと思います。
桑野 陥没の直接原因はまだわかりませんが、硫化水素で腐食する事実はあり、あるいは構造的に管に隙間ができることも起こりうるわけで、安全率1の世界で対応することは非常に危険です。仮に下水管に穴が開いても、周りを改良土で巻いておいて流動しにくい材料で埋め戻すとか、維持管理や点検しやすいとか代替路があるとか、次の手さらに次の手で冗長性を持たせておかないと難しい。いろいろな意味で今回のことを教訓にしないといけないと思います。
家田 1950年代の終わり頃から東京は渇水に見舞われ、特に1964年は「東京砂漠」と言われるほど深刻だったので、利根川の水を荒川に導くための導水路として武蔵水路がつくられました。老朽化して2016年に改築された時に、通水機能を損なうことなく、メンテナンスを考慮して2連コンクリート開水路にしたんです。メンテナンスしやすいものへ変えていく一例ですよね。
 日本の鉄道は複線であっても上り下りが一方通行です。双方向の通行を可能にするには信号システムに多額の投資が必要になる。施設に投資しないで人間にしわ寄せがくるのが日本の発想なんですね。青函トンネルも貨物列車も通るので新幹線の走行スピードを制限している。それに比べて英仏海峡トンネルは単線を二つ通していて、マネジメントしやすい。ただ、おそらくは日本でもだんだんメンテナビリティが高いシステムに変えるという思想に向かっていくと思いますね。

茶木 環 作家/エッセイスト(理事・広報委員長)
茶木 環 作家/エッセイスト(理事・広報委員長)

空間情報の統合化と共有化を進めることが重要

家田 これからは地下空間管理が柱の一つになると思いますが、どうしたらいいんでしょうね。
高山 私は建設コンサルタントとして、自治体の各部局の台帳などの作成や道路施設に関わるインフラ管理に従事しています。上水道と下水道、道路など、管理者が異なることが一般的であるため、それぞれに台帳をつくる形がほとんどです。最近はそれらを統合化する動きも出てはいますが、今はバラバラに情報を有していることが多い状態です。また埋設されている電気や情報ケーブル、ガスなどとなると、なおさら各事業者でバラバラに管理されています。データは基本的にはデジタル化が進んでいますが紙台帳で管理されているところも残っています。深さの情報は単点ごとには入っていますが、3次元ではなく2次元の表現になっています。
 インターネット上で一般に公開する自治体もかなり増えてきましたが、情報は一元化されていないので、例えば水道の埋設管と下水道の埋設管の情報は切り替えないと見ることができないことが多い。また背景図も、管理者によって異なった基図の場合もあり、更新時点もまちまちです。これが一元化されて、さらに3次元の情報になって、地下空間としてどの位置、高さに何が入っているかがわかるようになれば、かなり事態が進むと思っています。
 埋設管の位置情報を管理するうえで大きな問題は精度ですね。メンテナンスで掘り返した時に、点群データをとって、どの高さに何が入っているかの情報をもらえれば、それを繋いで精度が上がると思います。ただ、それをやるのは、特に自治体では大変なので、まずは3次元の台帳を作るところから始めるといいと思います。

既存水道台帳システムの例
出典:アジア航測株式会社

家田 桑野先生や私が登壇した学術会議のシンポジウムで提言した中で、「社会インフラ建設において利用される地質地盤情報は、国民にとって必要不可欠な情報であり、国民の共有財産でもある」という大事なことはまだ実現していないんです。
 例えば、空中だとビルの上や地下には所有権があるけど、上空の気圧や風の情報は気象庁が一括で管理して、これは共有財産です。けれども、ビルの地下情報はそうではない。道路管理者は知らないし、地下鉄を通す場合にも地域内の地下情報を知っていた方がいいですよね。
桑野  地下空間の情報の共有化は皆のメリットになるはずです。地盤の構造について、私達はボーリングの点での情報を繋いで地盤の状況を把握するのですが、構造物をつくる時に地下の構造や地層の状態は非常に重要な情報ですし、他の地盤情報が補完されるとより正確な情報になります。
家田 もう一つ、地籍調査が大事です。その重要性は国土形成計画やその他の計画でも最後の方に記されている。ですから関東地方整備局の「首都圏広域地方計画」(中間とりまとめ(素案))では「国土の高度な統合的デジタル管理システムの構築」という趣旨で初めに掲げています。
 コンサルタントにとっては、マネジメントを担当する場所のどこに何があるかだけではなく、例えば陥没が増えているとかトンネルのシールドで漏水が増えているなど周囲の情報も含めてビルトインされるようになると、イマジネーションができるようになりますよね。
高山 ただ、悪いところは人に見せたくない意識も働きますので、なかなかハードルが高い部分もあります。それと、どこにあるかだけではなくて、どうなっているかについては、例えば下水ならマニュアルがあって、そのリスクや調査により付与する健全度みたいなものの出し方は最低限の考えが示されています。そこの具体的な点数付けなどは自治体に任されているので、例えばそれが公表されたとしても、それぞれ基準が異なることも多いんです。
家田 全国一斉にやろうとすると難しいけれど、心ある自治体が先行して手掛けていくようにすると、やっていない首長たちにも影響を及ぼして、意外に進むものですよ。いいことをやるのは地方分権型でいいと思います。空間の様々な情報を共有するメリットは大きいし、デジタル化やストックの技術は低コスト化しているので、長い目で見て乗り出さない手はない。
 2021年に熱海市の伊豆山では、逢初川の上で違法な盛土がされていて、大雨によって土石流が発生し、下流部の市街地で犠牲者が出ました。途中にある静岡県の砂防ダムでは危険を察知していたけれど、被害に遭った場所は熱海市の市街化区域という矛盾がある。さらに、県の森林のサポートは別のところが担当していたし、隣の山は保安林なのに、砂防ダムの上流は保安林ではないので伐採が許可されていた。つまり、同じ場所で都市計画行政と砂防行政と森林行政が互いに矛盾したことを行っているのに気付かない。しかも熱海市には土木技術者がいない。空間を重ねて管理する、つまり情報の「統合化」がいかに重要か、この件で痛感しましたね。

3Dでの地下埋設物管理イメージ 1
3Dでの地下埋設物管理イメージ 2
出典:アジア航測株式会社

空間管理情報の見える化でインフラメンテナンスを変えていく

家田 空間管理の高度化は管理者だけではなく、見える化されることは市民にも大きく影響してきます。伊豆山のケースのように全部、統合されれば矛盾が見えてくる。それを見た時に、管理者は「これには過去の経緯があるので簡単には変えられない」と言うけれど、一般市民はきっと怒るはずです。市民がインフラを自分たちのものであると認識してものを言い、そういうことで行政が良くなる方向に寄与するのではないでしょうか。
茶木 市民からすると、意図的ではなくとも都合の悪いことが見えない状態では不信感を持つようになります。矛盾が見えた市民が声をあげることで安心や安全が向上されていく方が信頼を培っていけるし、インフラを共に守っていくという意識が強まっていくと思いますね。個々人がそれぞれの立場からインフラの維持管理について意識を高め、インフラを共有するとはどういうことか、何をすべきなのかをより真剣に考えていく。自分たちの生活の基盤について積極的に関与・参画し、それが良くなっていくことは幸福度や満足度の向上にもつながるのではないかと思っています。
高山 見えない部分については難しいのですが、最近、市民の人に点検をしてもらうことも進んでいます。ポットホールなど小さい路面の異常をSNSで管理者に投稿するような仕組みはできてきているので、「ここは何回直してもどんどん沈下している」というような声を集めたら、何らか兆候が取れるところもあるかもしれないし、できることはあるかと思います。道路については国土交通省がそれをやっているのですが、そこで完結しています。道路の変状が何回も続くところに、もしかしたら下水管に異常があるかもしれないということにはお互いに気づいていないと思うんです。
桑野 道路陥没の問題には私も長い間、携わっていますが、管理者がおっしゃるのは適切に管理したくともお金がないことです。路面下空洞対策の予算などは驚くほど少なくて、確かに少しずつしかできない。それは他のインフラも同様です。使っている市民の方々にも、維持管理にもお金も手間もかけなければいけないという理解をしていただくことは必要だと思います。
 それから、こうした陥没や空洞問題いわゆるインフラの不具合問題に関する情報を外に出すことに抵抗があるらしく、研究の立場からお願いしても10年ぐらい前まではほとんど出していただけませんでしたが、福岡の陥没事故以来、管理者の意識が変わったのか、様々な情報が出てくるようになり、対策も少しずつ進んできました。つまり、情報が共有されてニーズが認識されれば民間の技術開発も進むということだと思います。今回のことも皆さんにインフラの維持管理が必要であるという大きなインパクトを与えて、実際に国土交通省も対策に乗り出していますよね。少し前まではインフラの管理の状態をマップ化するなんてことはあり得なかったのですが、それが結果的にマネジメントを良くしていくという意識付けの契機になったのではないかと思います。
家田 ヒヤリハットマップ(交通事故危険箇所地図)は地元の人々に地図上のヒヤリと危険を感じた場所にシール貼ってもらって、シールが多い場所に横断歩道を設置するなど、市民の協力を得ながらまちの安全を向上させていく。市民に見える化することで警察のサポーターを増やしながら、施策をつくり、税金を使うこともできる仕組みです。
 私が土木学会会長だった時に、市町村ごとに道路橋のメンテナンス状況をマップ化してオープンにしようとしたら、最初は点検マニュアルをつくっている研究者たちから抵抗もありましたが、実際にはいい影響ばかりでした。メンテナンスが進んでいない自治体からは相談も多かったので、反対していた研究者にも手伝ってもらうようにしたらうまく進みました。思い切って見える化すべきですね。
 市民の意識転換を言いましたが、最も意識転換すべきは管理者側です。ほとんどの管理者は技術者で、「技術的な知識がない人たちから予定調和的なことを言われるので変革できない」と言います。それに、まずいことや率直なことは言うのが怖い。それから自分が管理している以外のことは知らないとかね。実は予定調和の世界から脱却すべきは技術者自身であって、我々、インフラに携わる仲間たちには覚醒と言えるほどの強い意識転換が必要ですね。

(撮影:小野田麻里)