2024年度 第3回イブニングセミナー 地方都市や集落の『らしさ』を生かしたまちづくり ~“現在地”と“これから”~ 報告
2025年2月19日、東京大学にて2024年度第3回イブニングセミナーが開催されました。
東京理科大学 伊藤香織教授をコーディネーターに、第一部は、ワークヴィジョンズ代表取締役 西村浩氏より、地方都市が抱える、人口減少や中心商店街が衰退して空地や駐車場ばかりが増えるという課題に対して、佐賀市呉服元町商店街の再生実践例を用いて、箱物ではなく中身から考え、空地や空き家を活かして子供とお母さんを呼び込み、まちの人気を上げて価値を生むエリアマネジメントについて説明いただきました。続いて、京都大学 神吉紀世子教授より、農山漁村の文化的景観の保全の取り組みについて、急傾斜地の段畑でじゃがいも栽培が続けられている遊子水荷浦や世界遺産を抱える紀伊山地の霊場・参詣道などの事例を踏まえて、文化的景観は、地域の生活や生業(なりわい)の積み重ね、変化を含めて形成されるものと認識したうえで、何をどう守っていくか、継承していくかを考えていくべきと説明いただきました。
第二部では、地方都市や集落の『らしさ』を生かしたまちづくりについてパネル討議が行われました。最初に、シビルNPO連携プラットフォーム代表理事 山本卓朗氏から、住んでみたい、行ってみたい、Well-being な“適疎な地域づくり”を提言し、好事例を収集し、全国に広めていく活動を紹介いただきました。討議では、地域づくりがうまくいっているところは、行政の主導ではなく、そのまちに思いがある人が始め、地域の人たちが中心となっていること、これからのまちづくりは、大都市の模倣ではなく、その地域の特色を活かし、何を大切にしていくべきかを考えること、作り手側の論理ではなく使う側が幸せを感じられることを考えていくことが重要、といった意見が出されました。地域の風土、生活文化の特徴や現在の社会に応じた新しいまちづくり、まちのあり方が求められていると感じられるセミナーでした。
関西国際空港熱供給(株) 奥田 豊
(広報委員)



