産学共働若手勉強会「和歌山県太地町自動運転サービス」見学会 報告
産学共働若手勉強会では、2024年3月12日~13日に和歌山県太地町における自動運転サービスの見学会を開催し、8名が参加しました。紀伊半島南端に位置する太地町は、人口は約2,800 人と少ないものの人口密度は県内7番目に高く、港近くに家屋が密集している町です。2022年よりヤマハ発動機社製車両(5人乗り)を用いた自動運転レベル2による公共交通サービスが提供されています。
車両は役場前からスーパー、集会所、病院などを経由して、約45分で一周3.2㎞のコースを巡回しています。現在、2台で18便/日を運行しており、運賃は無料です。なお、車両は道路に埋められた電磁誘導線に沿って走行し、速度はRFIDタグにより6パターンで制御され、狭隘区間は最も遅い時速3.6㎞と設定されています。
何故、このようなサービスを開始したのか、太地町役場和田正希氏からお話を伺ったところ、「外出支援と見守り」の役割を期待しているとのことでした。外出支援は自動運転サービスだけでなく、まちづくりのビジョンで全町公園化を掲げ、まちの至る所にベンチやトイレを設置し、外出しやすい環境を整えているとのことです。もちろん、循環バスも運行していますが、特に高齢者が多い地区では道路が狭隘でバスが走行できないため、狭隘な道路でも走行できる本サービスの導入に至ったとのことでした。
見守りに関しては、乗車時にその素晴らしさを実感できました。高齢の方がスーパーの前で下車された後、周回した車両がスーパーの前で再度止まると運転補助員の方が降りて、スーパーに向かいました。我々からは誰かいるように見えなかったので、なぜ、運転補助員の方がスーパーに行ったのか予測できませんでしたが、少しすると先ほどの高齢の方と一緒に戻られ、再度乗車されました。他にも挨拶を交わすだけでなく、郵便受けに郵便物が溢れていないかなど見守っているそうです。これからもエリアの拡大を予定されるなど、外出しやすいまちとして今後の発展が期待されています。
日本大学 石坂哲宏(産学共働若手勉強会)