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インフラ最前線にみる「防疫」

土木工事における防疫の取組みについて

大成建設株式会社土木本部土木企画部戦略計画室(執筆時点)

岩井俊英

一般に、建築を含む建設現場の主な特徴として、単品受注生産、労働集約型/重層下請け構造が挙げられる。このため、現場の状況が日々変化するのに伴い、不特定多数の人が頻繁に出入りする。

このような特徴があることから、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が出されて以降、当社でも4月から5月にかけて一部で工事を中断したところもあったが、全社的には感染防止策を講じながら工事を継続した。

当社は土木工事の中でも大規模なものを多く手掛けており、いわゆる「3密」状態となる恐れが比較的高い状況にある。以下では感染拡大防止への取組みを①入場時、②朝礼、③休憩、④打合せ、に分けて紹介する。なお、ここで紹介する事例は必ずしも当社の全現場で実施されているわけではないことを予めお断りしておく。

1. 入場時
非接触型体温計で入場者全員の体温計測や、マスクの配布、入り口に消毒液を設置して手洗いを徹底するなど、水際対策を実施している。

2. 朝礼時
当社に限らず、大半の建設現場では始業前に元請、協力業社の全メンバーが1箇所に集合して朝礼を行い、その日の作業内容の確認や安全指示事項の周知を図っている。朝礼会場においても極力「ソーシャルディスタンス」を保てるようにしているが、不可能な場合は分散開催などの措置を取っている。

3. 休憩時
建設現場では敷地内に元請や協力業者の事務所を設置し、休憩場所としても使用しているが、新型コロナウイルスの感染拡大を機に休憩時間をずらしたり、また各詰所に消毒液を設置したりするなどの措置を取っている。

4. 打合せ時
冒頭でも述べたように建設現場は日々状況が変化するため、基本的に毎日元請職員及び協力会社の代表者が翌日の作業調整のための打合せを行っている。会議室内で「3密状態」が避けられない場合においては、テレビ会議システムを使用するなどの措置を取っている。なお、テレビ会議システムは、本社や支店による現場のパトロールや発注者との打合せなどにおいても利用しており、長距離移動や対面での打合せを極力削減するよう心掛けている。

本原稿の執筆時点(2020年6月)において、当社土木工事現場で新型コロナウイルスの感染は発生していないが、まだ完全に収束したわけではなく、第2波の恐れもあることから引き続き感染拡大防止に取り組んでいく。

検温状況
検温状況
朝礼実施状況(離隔の確保、マスクの着用)
朝礼実施状況(離隔の確保、マスクの着用)
時間をずらして昼食休憩
時間をずらして昼食休憩