活動レポート

イブニングセミナー

第1回イブニングセミナー「海プラの海に浮かぶ日本の現実」報告

さる6月10日(水)、本年度第1回のイブニングセミナーが開催されました。今回は、海洋プラスチックごみの実態、発生メカニズム、日本の河川に係る汚染状況などをテーマに、当該分野の第一人者であるお二方をお招きしました。今回のセミナーは、COVID-19感染症の流行に伴う昨今の情勢を踏まえ、アプリケーションを活用したオンライン形式での開催となりました。
冒頭、当会会長である政策研究大学院大学 家田教授と、当会企画委員長である東京大学大学院 羽藤教授から挨拶がありました。続いて、㈱エックス都市研究所執行役員 岡かおる様、東京理科大学教授 二瓶泰雄様からそれぞれご講演をいただきました。
岡様からは、そもそも海洋プラスチックごみとは何か、私たちの生活のどこから発生するのか、どのような問題を生じうるのかという説明から、その対策としてプラスチックのライフサイクル全体にわたる対策の必要性などについてお話いただきました。ご講演後の質疑では、海洋へ流れ出るプラスチックのうち約4分の1が、タイヤの摩耗によって発生するくずや、道路のマーキングが摩耗して発生するくずであることや、化粧品や人工芝など、私たちの生活に身近なものが発生源となっていることに対する驚きのコメントが挙がりました。
二瓶様からは、日本人一人あたりどれほどのプラスチックを使用しているかなどの概論に始まり、ご研究における河川の観測方法、試料の採取方法、画像解析方法などをご紹介いただきながら、日本の河川でプラスチックごみの流出が発生しているのか、そして市街地のどこから流れてくるものなのかに対する分析結果をお話しいただきました。その後の質疑では、自然に分解されるプラスチックごみの量は極めて限定的であるなどのお話がありました。
最後のディスカッションでは、参加者及びご講演者のお二人から、EUが主導する環境対策に対する問いかけや、今後対策をより進めていくためには処理技術に加え、代替材料技術、利活用や廃棄ルール等のソフト面も含む複合的な対策が必要であることなど、活発な議論が行われました。海洋プラスチックごみが私たちにとって非常に身近な問題であること、そしてその恐ろしさを感じ、行動を見直すきっかけをいただいたセミナーでした。

みずほ総合研究所㈱ 梅村恭平(広報委員)

東京理科大学教授 二瓶泰雄様
東京理科大学教授 二瓶泰雄様
㈱エックス都市研究所執行役員 岡かおる様
㈱エックス都市研究所執行役員 岡かおる様