地方における土木の課題 富山市をフィールドとした社会インフラ勉強会
高度成長期以降に建設された2m以上の道路橋(約73万橋)のうち50年以上を経過する道路橋の割合は、2030年には約55%と半数以上が該当することとなります。
富山市では多くの河川や用水路が存在する地形的な特性から、道路橋(橋長2m以上)は2300以上を超えています。橋の維持管理コストは、現在でも財源が不足している上に、試算では2069年に70億円を超えることが見込まれており、全国の自治体に先駆け、橋の維持管理に優先度をつけ、必要性と重要度に応じて選択と集中を行う「橋梁トリアージ」や「補修オリンピック」など独自の取り組みを実施しています。
2024年10月4日、橋を専門にする建設会社やコンサルタント会社の経験を持つ植野芳彦富山市政策参与の主導で市内の老朽化した橋梁や道路土工構造物についての視察(参加者は有志)が行われました。
常願寺川に架かる瓶岩橋(1972年竣工)は2008年に橋台のひび割れや床板の抜け落ち、伸縮装置の破断等が確認され補修を実施したものの、5年後に再劣化を確認し、さらに2年後には支承ローラーの脱落を確認し、通行止めとなりました。能登半島地震後には下流側の支承ローラーも脱落しました。市道東福沢小谷線(1983年市道認定)は、モルタル吹付工で保護されている部分においてひび割れや浮きが確認され、落下により道路及びその通行に大きな影響を及ぼす危険性があります。
インフラの維持管理において、各自治体では土木系の職員が少ない、在籍しないことも大きな課題ですが、富山市の道路関係の職員数は技術者も含めて約300人。市内に延びる道路の総延長は約3000km。各自が部署の範囲を超えて、マネジメントを行っています。
作家/エッセイスト 茶木 環(広報委員長)

