2024年度第2回イブニングセミナー 「東京の都市開発と都市防災の展望 ~これまでの歴史とこれからの50年~」報告
2024年11月26日(火)東京大学本郷キャンパスにて、第2回イブニングセミナーが開催されました。
第一部では「東京における都市開発と防災の歴史的変遷」として、伊藤毅東京大学名誉教授による基調講演をいただきました。
中近世では防衛上有利な沼地に建設される都市が見られ、それが故に地盤の脆弱性も抱えていた。江戸も沼地の多い土地に建設されており、軍事・物流を目的として堀割や町割など水陸交通網を発達させながらインフラ都市として形成されていく。江戸の町が発展するにつれ、そこに内包されていた火災・地震・水害やそこから派生する飢饉や疫病・感染症などの複合的な危機が連鎖するようになる。それに直面した江戸の町は、マニュアル作成といったソフト面での対策だけでなく、町の一部を移動させる『代地』や複数での土地交換である『相対替』といった土地利用の内部的変換によるハード面での対策をとったことなど、江戸の町の変遷についてご講演いただきました。
第二部では「災害にそなえた都市開発の展望~これからの50年に向けて~」をテーマに、コーディネーターに羽藤英二東京大学教授を、パネラーに伊藤毅教授・伊藤香織東京理科大学教授・奈良照一氏((株)ドーコン)・山中亮氏((株)中央建設コンサルタント)を迎えて、パネル討論が行われました。
強力な都市計画に基づいて形成されてきた札幌、戦争や軍用地による影響を強く受けながらも発展してきた那覇、それぞれの地域で進んできた人口の一極集中。『往来』『人口減少』『適疎』『軍事・安全保障』という様々なキーワードも交えながら、江戸・東京とも比較して、これらを土地利用の視点をもって中近世からひも解くことで、集中なのか分散なのか将来の都市や国土・交通のあり方について意見を交わしていただきました。
(株)大林組 中村裕史(広報委員)
