活動レポート

イブニングセミナー

第4回イブニングセミナー「江戸の土木」報告

 2021年2月18日第4回イブニングセミナーをオンラインで開催し、公益財団法人太田記念美術館上席学芸員・渡邉晃氏より「江戸の土木─浮世絵から読み解く、100万都市・江戸の成り立ち─」と題してご講演をいただきました。
 
 講演前半では、土木構造物として橋、水路、埋立地、大建築および再開発エリアが描かれている浮世絵についてご紹介いただきました。橋が特に多く描かれているのは、造形物としての美しさに加えて、人々が橋の上を行き交うことでドラマが多く生まれることが要因ではないかというお話にはとても共感いたしました。
 
 講演後半では、土木に係る人々の浮世絵や、災害と普請(安政の大地震)をコミカルに表現した浮世絵、および復興の象徴を表したと思われる浮世絵をご紹介いただきました。
 
 コメンテーターを務めた東京大学大学院工学系研究科・布施孝志教授からは、浮世絵から当時の地形を読み取り、さらに現在の地形を踏査することで、地形変化の歴史への理解が非常に深まるというコメントがありました。続く質疑応答において、災害に着目した浮世絵についても意見交換が行われ、文化的な視点で土木技術を見つめる貴重なセミナーとなりました。

大成建設(株)新田直司(広報委員)

太田記念美術館 渡邉晃上席学芸員
太田記念美術館 渡邉晃上席学芸員
東京大学大学院 布施孝志教授
東京大学大学院 布施孝志教授